<Liver trial>















少女が見えるのは今の所だけ。
ただ全員声だけは聞こえる。
先輩、名前教えちゃったんですか?!」
少女がの名前を呼んだ事から問い詰めるとあっさりと肯定した。
「先輩…霊に名前を教えるのはタブーなんですよ」
髪を掻揚げながら鳳は困った顔をした。
鳳の話はこうだ。
霊に名前を教えたり、接触したりするのはいけない事。
例え声が聞こえて姿が見えても霊は無視しなければならない。
もしも話し掛けてしまったり質問に答えてしまった場合、その霊は何時牙をむくか解らない。
霊はその人間に取り憑く。
そして悪霊と呼ばれる類の物は名前を知る事により、その人間を殺したりする…。
「ちょた君…早く言ってよ」
もう既に名前は教えてしまった。
そして名前は霊によって呼ばれた。
もう手遅れである。
「あたし…この子に憑かれて死ぬの?」
その質問には誰も答えられない。
−安心してお姉ちゃん−
響き渡る少女の声はの言葉に答えた。
−如何しても探して貰いたい物があるの−
少女は必死な声で訴えた。
大事なものをなくしてしまった為成仏出来ないのだと。
「この家にあるん?」
忍足が間に入り尋ねると少女は呟いた。
−私は一人じゃこの部屋から出られないの−
少女は自分で探す事は出来ない。
その為にに近寄ったと言う訳だ。
他にもこの家に現れた者は居たが波長やら難しい問題で少女と接触出来なかったらしい。
「あたしと居ればあなたはこの部屋から出れるの?」
の顔を見上げゆっくりと頷いた。
必ずこの家の中にある。
手掛りは、少女の記憶のみ。
「俺らには如何やってもそいつは見えないのか?」
宍戸は見えない事が不便だと訴えた。
少女と波長が合うのは稀らしい。
お姉ちゃんに触れば見えるけど…−
を通せば見える様になると言うが流石に5人と手を握るのは気が引く。
−じゃあ…−
少女はそう言うと持っていたくまのぬいぐるみを強く抱締めた。
辺りが静かになり強い光が一瞬部屋を包んだ。
「眩しいッ!」
「くっ」
閃光の止んだ部屋には間違えなく少女が立っていた。
「お前が…」
今度こそ他の5人にも少女は見える様になったらしい。
−今ので見なくても良い霊まで見える様になってしまったけど…でもちゃんと私が居なくなったらその力はなくなるから−
あまり使ってはいけないものらいしが其処までして探したいものが少女にはあるのだ。
少女は眉を潜めたがは少女の手を握った。
「大丈夫、ちゃんと探すよ」
触れる事は出来ないけれど暖かいと感じる事の出来るの手。
霊の少女に対して笑みを見せてくれる人間。
「あたし達にも名前教えてくれる?」
無いと呼びにくいから。
差し伸ばされた手を掴み軽く握る。
−栞です−
照れくさそうに少女は呟く。
「良い名前だね」












状況整理の為にリビングのテーブルに座った。
少女、栞の向かい側に樺地、隣に跡部と忍足。
栞の隣に、鳳、宍戸。
「なぁ、此処って他にも霊居るん?」
忍足はさっき栞が言ってた"他の霊も見える"と言う事が気になっていた。
−もしかしたら居るかも知れない…私達が此処に居るから−
ただしいても殆ど悪影響はない。
栞よりも前から居る霊はいないかららしい。
要するに上下関係が霊社会にもあるらしい…。











一段落着いてから少女はこの家で起きた惨劇を話し始めた。











栞は父と母の3人家族で父は仕事に熱心な人だった。
5歳になる頃までは良く家族皆で遊びに出たりしたが栞が大きくなるに連れて外出は少なくなった。
イベント事が大好きな母親に栞や母を大事にしていた父親。
両親から愛情を沢山貰い5歳まで育つ。
所が徐々に冷めて行った夫婦の仲。
特に栞が7歳になる頃には父は殆ど家に居なかった。
栞にだけは変わらずに両親とも愛情を注いでくれた。
それ為7月7日の七夕のイベントだけは仲良く家族で星を観ようと約束をしていた。
しかし父親は七夕の日に帰って来る事は無く、父が帰宅した頃には8日を回ってしまっていた。
母親はその夫の行動により家族として暮らして行く事に憤りを感じ栞を殺害。
そして栞を殺した事への後悔を感じて居た時に父親が帰宅した。
愛する娘を手に掛けた妻を赦せる筈も無く殺害し夫自ら自殺した。
殆ど無理心中に近い状態だった…。
栞は何十年も前に享年7歳でこの世を去ったと言うのだ。











栞が殺されたのはリビング。
母親はダイニング。
そして父親は書斎で自殺。











死んだ後も家族はバラバラで出会う事すら出来ないで居る。
家族を繋ぐ為に栞は探し物をして欲しい。
そうい言う理由からであった。















やっとこさ終わりが見えて来ました。
が、もう少し掛かりそうです。
後2,3話ですかね?如何でしょう。
テロップとか書かない人間なんで…(汗
もう少し御付合い下されば幸いですv
2005/07/11